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Photo. 1 Condition of hillside-city

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Photo.2 Life Road in hillside-city

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Photo.3 Invasion of privacy

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Photo.4 Preparation of view points

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Photo.5 Beatiful night view

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Photo.6 Opened harbor space

3−2.港湾斜面都市の抽出
本研究では「重要港湾」および「特定重要港湾」の指定を受けている133港湾から、三大都市圏の港湾、離島港湾などを除いた90港湾とし、その背後の都市である99市を対象範囲とした(Table.1)。とくに、斜面地を有するという地形的特徴の点では離島なども考えられるが、港湾産業と都市の発展さらに斜面市街地形成という密接な結び付きの中で研究対象を捉えようとする本研究の目的から外れるので、今回は対象から除外した。
さらに、斜面市街地をもつ港湾都市では、歴史的に古くから港湾が立地し、その背後の斜面地に密集した居住地域が形成されていることから、次のような都市を本研究の対象都市とした。
?港湾とともに都市が発達し、斜面地に都市機能を備えている、もしくは平坦な中心市街地から斜面へ都市機能が連担している都市
?海岸線から3kmの範囲で斜面に市街地が形成され、傾斜度が概ね10〜35%程度の都市
?港町を中心とした地域文化や斜面の特徴を活かした海景観を形成している都市
?港湾機能の空洞化が起こりつつある都市
そこで、港湾斜面都市を抽出した結果、港湾斜面都市は51港湾、55都市とし、残りの44都市は港湾都市とした。港湾斜面都市の、立地状況をFig.1に示す。これをみると、入り組んだ海岸形状で一般的によく知られている三陸海岸や瀬戸内海、長崎周辺に多くなっている。
4.港湾斜面都市の現状と空間的特徴
4−1.斜面市街地の現状
港湾斜面都市の多くは、港湾の発達に伴って都市人口が急速に増加し、それに合わせて斜面に市街地がスプロール的に形成されてきた(Photo.1)。そのため、Photo.2に示すような階段道路や狭隘道路、複雑に入り組んだ路地が斜面市街地内の主要な生活道路となっており、通勤・通学や買い物など、日常の生活行動に支障を来している。とくに、車両が斜面市街地内部にまで進入できないため、火災などの緊急時の対応も難しく、住民は強い不安を抱えている。また、斜面市街地内では山側と谷側で高低差が生じるため、Photo.3に示すように住宅などの中が覗き込まれやすくプライバシーの確保が困難であるなど、居住環境について多くの問題点が挙げられる。
しかし、斜面に市街地が形成されていることにより、その高低差のために日照、通風さらに見晴らし

 

 

 

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